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The Voyage to The Higher Self

NEW ALBUM

The Voyage to The Higher Self

Pre-order for FC membership: 26th Jan 2022 General on-sale date: 26th Feb 2022

SPTC-1010

¥3,300(税込)
CD(SHM-CD)+ブックレット

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SUGIZOがモジュラーシンセサイザー界を牽引するHATAKENとコラボレーション。
古代インド哲学より伝承されてきた“チャクラ”から着想を得た全7曲が誕生、
デュオとして初のオリジナルアルバム『The Voyage to The Higher Self』が完成した。
モジュラーシンセを限界まで駆使し、変調したギターが縦横無尽に空間を舞う、
宇宙との交信を音像化したかのような至高のアンビエント・ミュージック。
2020年代の「フリップ&イーノ」が本格始動する。

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Introduction

SUGIZOが、世界的に活躍するモジュラーシンセサイザー奏者HATAKENとのコラボレーション活動を本格化。デュオ「SUGIZO×HATAKEN」としての初オリジナルアルバム『The Voyage to The Higher Self』をリリースする。インド哲学に由来する、心と体を調整するエネルギー“チャクラ”をモチーフとし、第一から第七までの七つのチャクラの色とシンクロした7曲を収録。アンビエント、ヒーリング、メディテーション・ミュージックを志向した点においては2020年にリリースした前作『愛と調和』と地続きだが、制作のアプローチは全く異なり、SUGIZOは新たなフェーズへと進んでいる。

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二人の初コラボレーションは、2017年にリリースされたSUGIZOのオリジナル・アルバム『ONENESS M』に遡る。SUGIZOソロデビュー20周年記念作品での初コラボで客演する形となったHATAKENは、次に2018年にリリースされたリミックス・アルバム『SWITCHED-ON OTO』で「The Voyage Home」(社会への憤怒をぶちまけたようなノイズに満ちたアルバム『音』のラストにそっと置かれた、安らぎの訪れを祈るような重要曲)のリミックスを手掛け、複数案を提出。「The Eternity Voyage Remix by HATAKEN」として発表されたが、SUGIZOは選に漏れたヴァージョンにも大いに魅力を感じ、いずれそれらをまとめて作品化したいとの願いを抱くことになる。
また時期を同じくして二人は幾多のイベントに出演。デュオとしてのライヴ活動に積極的になっていく。
2019年にはSUGIZO50歳の誕生日を祝した「聖誕半世紀祭」でステージ共演。披露した「Multiverse Traveler from HALF CENTURY FES.」は、『愛と調和』豪華盤の特典ディスクに収録され、二人にとって初の正式音源となった。このプロジェクト始動に際しSUGIZOがイメージしたのは、フリップ&イーノ。約50年前、ブライアン・イーノがロバート・フリップと組んだ伝説的アンビエント・デュオの2020年代版である。SUGIZOにとってHATAKENは、音楽性だけでなく精神性を互いにリスペクトし合える存在。アルバムタイトルは、上述したHATAKENゆかりの2曲にちなんで、旅と紐づけた言葉を選んだという。

7曲のベースとなったのは、いずれもSUGIZOの既存曲。それらをまずはHATAKENがバラバラに解体し、ほぼすべての音をモジュラーシンセで加工、変調して大胆にリビルドした。再構築されたものに対し、生みの親であるSUGIZOは更にメロディーやハーモニーを加え新たに「作曲」を施し、新規の音をレコーディングして重ねることで楽曲は完成。手法は90年代にDJやトラック・メイカーが発展させたサンプリング・ミュージックに通ずるが、引用素材はあくまでも自身の音源。まるでDNAを再利用されているような感覚だとSUGIZOは語る。そのようなプロセスで、単なるリミックスでもなく完全なるオリジナルでもない、非常にユニークな成り立ちのアルバムが誕生した。

SUGIZOが奏でたギターサウンドが実は音素材の七割を占めるというが、モジュラーシンセを経由して鳴らすことによって全くそうは聞こえないことに驚かされる。海洋生物のようであったり、風の音のようであったり、せせらぎのようであったり……あらゆる音は自在に姿を変え、鳴っている。断片的に聞こえてくる既存曲のフレーズは、まるで前世で出会った誰かの面影のような懐かしさをもたらしつつ、モジュラーシンセの起こすケミストリーによって印象は新たに。宇宙的で悠大な、神秘に満ちたサウンドスケープに昇華されている。また、現在LUNA SEAのライヴでも用いているアナログ・ギターシンセサイザーも今作では活躍し、懐かしくも未知のサウンドを響かせているのも聴き逃せない。

少し具体的に楽曲を紐解くと、1曲目の「Muladtara」は、地上と繋がっている脊髄の基底部、赤色をした第一チャクラを表すタイトル。アンビエントではあるが肉感的で、ダンスミュージックの形状をした最も現世的な曲。セクシュアルな意味を持つ第二チャクラに対応する二曲目「Svadtisthana」には、官能的(Sensual)なイメージが投影されている。次の第三、第四とチャクラが上昇していくにつれて、それにシンクロする楽曲も波動が上がり、まるで肉体を脱ぎ捨てていくように、音の輪郭は朧げに、より形而上学的なサウンドアプローチへと変化していく。興味深いのは、すべての音が電子的な変調を経ているのに、それらがまとまった時には機械的どころか実にオーガニックな香りを放つ、ということ。瞑想のBGMにふさわしいのは間違いないが、難解で高尚だと身構えず、ヒーリングを求める全ての人に是非届いてほしいアルバムとなっている。

デュオとしての今後のライヴ活動にもSUGIZOは意欲的である。アルバムでつくりあげたスピリチュアルでアンビエントな世界観をただ再現するのに留まらず、その場で鳴った音に絶えずインスパイアされHATAKENと二人で未だ見ぬ新しい物語を紡いでいくような、即興性の高いステージになることだろう。アルバムのリリースは1月16日にファンクラブ先行、2月16日に一般発売を予定。異色のプロセスで生み出された新たな音楽体験に没入してみてほしい。

text by Tae OMAE

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  1. SUGIZO

    作曲家、ギタリスト、ヴァイオリニスト、音楽プロデューサー。
    日本を代表するロックバンドLUNA SEA、X JAPANのメンバーとして世界規模で活動。
    同時にソロアーティストとして独自のエレクトロニックミュージックを追求、更に映画・舞台のサウンドトラックを数多く手がける。
    2006年に英国サイケデリック・トランスのオリジネーター JUNO REACTORに参加。
    2020年、サイケデリック・ジャムバンド SHAGを12年振りに再始動。音楽と平行しながら平和活動、人権・難民支援活動、再生可能エネルギー・環境活動、被災地ボランティア活動を積極的に展開。アクティヴィストとして知られる。

  2. HATAKEN

    モジュラーシンセサイザーライブパフォーマー、エレクトロニックミュージックプロデューサー。
    モジュラーシンセを駆使し新たなエレクトロ ミュージック表現を探求。 国内をはじめ、世界中のモジュールメーカー/アーティスト/ファンから注目されている。
    90年代より北米、欧州、アジア各地のフェス、クラブで精力的にライヴ活動を行い、Greg HunterとのデュオWåveshåperは高く評価されBOX CDとして再発される。
    2021年から東京大学memu earth labによるOtocare プロジェクトにも参加。“環境において音が培う価値”についての研究中。
    Official Website:http://hataken.info/

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  1. 1. Muladtara(ムーラダーラ)
  2. 2. Svadtisthana(スヴァディスターナ)
  3. 3. Manipura(マニプーラ)
  4. 4. Anahata(アナーハタ)
  5. 5. Visuddta(ヴィシュッダ)
  6. 6. Ajna(アージュニャー)
  7. 7. Sahasrara(サハスラーラ)
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VIDEO

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LINER NOTES

アーティスト、表現者というものは、時代の道標だ。ほとんどの人が何も感じていない世の中の流れや、世界が歩もうとする先にあるものを、敏感に感じ取ることができる。ただ、預言者ではない。明日の天気を予知するのではなく、ほんのわずかな風の変わり目や、川の流れの変化に気付き、それが何を意味しているのかを十分に咀嚼し、あるいは反射的に反応し、それを自身の表現手段で作品化する。だからこそ、その作品が真の意味を持つのは、むしろ生み出された瞬間ではなく、世の中の人々が作品を手にし、目にし、耳にして、その存在価値に気付いた時である。時代を表現するとは、そういうことだ。

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SUGIZOは2020年、世界がコロナ禍でもがき苦しむ中で、“救済の音”をコンセプトに前作『愛と調和』を発表した。世の中が、怒りや憎しみに陥りがちだった当時の心情を、慈しみの心で柔らかく正していくようなアンビエント/ヒーリング作品。振り返れば、この音に当時の自分がどれだけ救われたのか、今だからこそ改めて気付く人は多いだろう。

そして2022年、SUGIZOは新しいコラボレーションを本格始動させた。2017年に出会ったモジュラーシンセサイザー奏者HATAKENとのデュオ「SUGIZO×HATAKEN」による初のオリジナルアルバム『The Voyage to The Higher Self』だ。

「HATAKENさんと最初にコラボしたアルバム『ONENESS M』でのフィーリングがとてもよくて。それでリミックス・アルバム『SWITCHED-ON OTO(2018年)』の制作で、「The Voyage Home」のリミックスをお願いしたんです。その時、実は4パターンのリミックスを提案してくれて、そのすべてが素晴らしかった。結局、1つを選んで収録しましたが、他のリミックスもいつかは世に出したいと思っていた。そう考えていくうちに、全曲をHATAKENさんにリミックスしてもらいたいという気持ちが高まっていき、そこから1枚のアルバムを丸々HATAKENさんと作ってみようとイメージをフォーカスしていきました」(SUGIZO)

2人の出会いは決して偶然ではない。多くのモジュラーシンセサイザー奏者が、ある意味でモジュラーをノイズマシンとして使い、偶然性を活かした音作りをしているのに対し、SUGIZOはHATAKENを「明確に作りたい音色があり、それを音楽として表現しようとするシンセサイザー奏者」と評価し、コボレーションを熱望。その際にSUGIZOの頭の中にあったのは、1973年にブライアン・イーノとロバート・フリップがコラボレーションした伝説のアンビエント・デュオ「フリップ&イーノ」の現代版だ。

以来、2人は即興性を活かしたライブ・セッションを度々行い、さらにはSUGIZOのソロ作品をHATAKENがサポートするなど活動を展開。そして今回、遂に、「SUGIZO×HATAKEN」としてのアルバム制作に取り組んだ。では2人は、一体どのように曲作りを進めていったのだろうか。その制作スタイルが、これまた実にユニークであった。

まずSUGIZOが自身のオリジナル楽曲を選び、それをHATAKENが完全に解体し、再構築する。ここまでは、いわゆるリミックス的な工程となるが、ポイントはここから先。HATAKENが再構築したトラックからインスピレーションを受けたSUGIZOが、そこに新たなメロディやコード(和音)を重ねていく。そうしたやり取りを繰り返すことで、純然たるリミックスでも、生粋のオリジナル曲とも違う、しかしながら、間違いなくSUGIZOとHATAKENによって彩られた新しい作品が生み出されたのだ。

それはかつて90年代にDJやトラックメーカーたちが、過去の名盤をサンプリングし、新しい楽曲を生み出そうとしたアイデアに近く、それを現代に置き換えたアプローチと言える。言い換えるならば、前世の記憶(原曲)を持つ、新たな楽曲が転生したともいうべき、チャネリング的発想の制作とも言える。こうした2人の曲作りは、ほぼ互いが顔を合わせることなくリモートで進められた。

「まず、僕が作業する際にイメージしていたことは、原曲にある音がまとうオーラ、そこをさらに拡張できないかということでした。時間軸も音楽性も原曲をバラバラにし、初期段階のトラックを完成させ、それをSUGIZOさんにお渡ししたんです」(HATAKEN)

HATAKENが最初に作り上げたトラックは、SUGIZOの感性を大いに刺激する。そしてここで、奇跡と言っても過言ではない、本作の軸を貫く“チャクラ(インド哲学に由来する、心と体を調整するエネルギー)”のアイデアが降臨する。

「元々の音が肉体だとするならば、肉体を脱ぎ捨てて、音の霊体だけをHATAKENさんがまとめてくれたイメージ。もっと分かりやすく例えるなら、原曲で僕が作った音、僕が弾いた音を“出汁”にして、HATAKENさんが極上のスープを作ってくれたわけです。そのスープに、僕が新たな具材を入れて、料理として完成させたり、さらにHATAKENさんにグツグツと煮込んでもらったり。そういう作り方でした。その際、最初にHATAKENさんから届いたトラックを聴いたら、ちょうど7曲で、各曲を“7つのチャクラ”に当てはめるイメージで仕上げていくのはどうだろうと思い付いた。しかも曲順も、ほぼHATAKENさんがトラックを仕上げてくれた順番のまま。ですから、実はコンセプトありきで作ったアルバムではなく、音ありきでテーマが導かれていったんです」(SUGIZO)

そもそも今回の作品は、アンビエントであり、ヒーリングであり、聴く人に癒しやスピリチュアルな共鳴を感じて欲しいというイメージで制作をスタートさせたとSUGIZOは言う。そういう意味では、前作『愛と調和』からの地続きとも言えるが、そこに“チャクラ”という概念をリンクさせたことで、『愛と調和』とも一線を画す、「SUGIZO×HATAKEN」ならではのアイデンティティが創造されたのだ。

さらに注目すべきは、2人が描いた音の色彩だ。SUGIZOのギターと言えば、時には鋭利に空気を切り裂き、時には宙を柔らかく漂うようなサウンドをイメージするかもしれない。そしてHATAKENのモジュラーシンセと言えば、いわゆるピコピコした伝統的な電子音を想像するかもしれない。しかし本作からは、そうしたサウンドはほぼ聴こえてこない。

7つのチャクラを形作るサウンドは、音階や音色、自然音と電子音など、音に関するあらゆる境界線をなくし、すべての音を自然に、そしてシームレスに溶け込ませている。12音階にとらわれない音程。オーガニックな電子音。シンセサイザーのようなギターサウンド。それらの“音”たちは、聴き手にその意味合いを強要することなく、ただただそこに存在している。存在していること自体に意味を有しているのだ。

だからこそ、同じ音の景色でも、聴く人にそれぞれにとって違う感情を抱くものとなるだろうし、あるいは、聴くタイミングや時期によって、まったく違った印象を受けるものとなるだろう。まるで、自然とは、そして人の感情とは、本来そういうものなのだと教えてくれるかのように。

「このアルバムに入っているほとんどの音は、実はギターなんです。でも、HATAKENさんが、ほぼすべてギターの音をモジュラーシンセに入力し、普通のギターサウンドからは考えられない音に変調してくれています。ですから、一聴してシンセの音だと感じるものは、その多くが実はギターなんです。そして、すべての曲でバイノーラルサウンドを駆使していて、特にヘッドホンやイヤホンで聴くと、音に包まれるような感覚になると思います。ただ、そうしたことはリスナーをビックリさせたくてやっているわけではなく、奇をてらわないように丁寧に作っていきました」(SUGIZO)

「完成した曲は、おそらくモジュラーシンセをイメージしない音になっていると思います。リスナーが驚きを感じることなく、心に浸透していく音、自然と心を広げられる音を目指しました。そのために、裏でモジュラーシンセを駆使し、ものすごくビックリするような手法で作っていったという点が、逆にこのアルバムの“驚かせどころ”かもしれません(笑)」(HATAKEN)

こうして、2021年を締め括るタイミングで完成させ、2022年の幕開けと同時に世に放たれたアルバム『The Voyage to The Higher Self』。SUGIZO曰く、「掛け値なしに、遂に自分が本当に作りたかった音楽が生まれたと感じている」と語り、そしてこう締めくくった。

「自分が永遠に追求し続けようとしている即興演奏のスキルや、SHAGのような演奏レベル、もしくはLUNA SEAのようにロックバンドとして自分の理想を体現する場所というように、僕には様々な音楽のアプローチがあります。ただ、本当に自分の精神性から生まれた音楽というのは、このアルバムなんじゃないかという気持ちがあります。それはもちろん、ヒットチャートを席巻するようなポップ・ミュージックの枠ではありませんが、でも、初めてここまで具体的な形として“僕はこれが生みたかったんだ”というものが作れた喜びを、今は強く感じています」(SUGIZO)

表現者であるSUGIZOとHATAKENが、このアルバムを生み出すために、そして今の時代を表現すべく歩んだ旅は、こうして終わった。それは同時に、2人が生み出した“音”の意味を探求し、その答えを成熟させていくリスナーの新たな旅(Voyage)の始まりを意味しているとも言える。そしてリスナー各人が、自分にとってのその意味を見いだせた時、2人が今の時代をどう見つめていたのか、そのことに改めて気付くこと出来るだろう。

Text by Yuichiro FUSE

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